モンゴル紹介動画(英語)
 

モンゴルの文化

遊牧とは、家畜が牧草地の草を食べ尽くさないようにその回復を待ちながら、季節に合わせて住む場所を移動させる家畜の飼育方法。モンゴルの遊牧民は主に牛・馬・羊・山羊・ラクダの5種類の家畜を扱っています(特に人気なのがモンゴル人の肉料理の中心となる羊!)遊牧民はゲルと呼ばれる木とフェルトで作られた移動式の住居に居住します。通常ゲルは数軒がまとまって草原内の一箇所に建ち、そのゲルに1家族ないし数家族が住み拡大家族集団となっていることが多いです。ゲルは移動するために分解・組立が容易に出来るよう工夫された作りになっています(大人一人で2時間もあれば組み立ては完了)。現在は太陽光発電を使用して電化製品を置いたり、家畜の追い方がオートバイになってきたり、遊牧民のスタイルを残しつつ近代的な要素も加わっている家庭が増えています。また有線設備が発展するのが難しいモンゴルでは、携帯電話の普及率が高まり、お互いにゲルを訪問し合わなくても携帯電話で連絡を取り合うこともしばしば!ちなみに遊牧民は、あてどもなく移動しているわけではなく・・・実際には拡大家族ごとに固有の夏営地、冬営地などの定期的に訪れる占有的牧地をもっており、例年気候の変動や家畜の状況にあわせながら夏営地と冬営地をある程度定まったルートで巡回しているのです。

モンゴルの食文化

モンゴル料理
遊牧民はゆっくり座って話しながら食べる時間がないため、遊牧民の食事は短時間でお腹いっぱいになる料理になっています。モンゴル料理は伝統的に、「赤い食べ物」と呼ばれる肉料理と、「白い食べ物」と呼ばれる乳製品に分けられます。主食としては小麦や米も食べられますが、農業が盛んでないモンゴルでは、肉が食卓のうちの主食並みの量を占めることも多いです。中でも一番食べられている羊の肉は、血を一滴もこぼさず、骨を折らず・切らず・関節に沿って解体して大鍋に入れ塩味で煮て食べるのが基本です。肉料理は茹で、蒸し、焼きなどの調理法だけでなく、ホーショル(揚げ焼き肉まん)やボーズ(モンゴル風蒸し餃子)など様々な種類があり、代表料理の主を占めます。その他スープやバンシタイツァイ(小さめの餃子が入ったミルクティー)も良く飲まれます。ちなみにモンゴルのイメージがあるジンギスカンは日本料理です!

モンゴルの酒文化
モンゴルには馬乳酒と呼ばれるモンゴル独自のお酒があり、馬乳を自然発酵させた醸造酒(アルコール度数は1度~1.5度)です。お腹の殺菌作用にも良いと言われ、夏場はこれを飲んで食事代わりにする人も多く、大人は勿論、子どもも飲みます。一方で、非常に強いウォッカも好まれており、約40度の度数があります。モンゴルの人々はこのウォッカをストレートで飲むことが多く、非常にお酒好きな国民性と言えます。冬はマイナス20度を超える極寒の寒さとなるため、身体が温まる強い度数のお酒が必須なのでしょうか?

モンゴルの正月料理

モンゴルのお正月「ツァガンサル(白い月)」は旧正月(旧暦の正月)であるため、日取りが毎年変わります。
興味深いのは、モンゴルの家族は知人、友人、親戚との挨拶に1日何軒も周ること。自分の家に挨拶に来たお客様をもてなすのも一大事で、年始挨拶の訪問客が一軒で100人を超えることも決して珍しくありません!よって作る正月料理の量が尋常ではなく・・・ボーズ(蒸し餃子)にいたっては、一家族で1,000個以上も作らなくてはならず、お正月前から家族総出で必死に作って外の物置やベランダなどで冷凍保存しておきます。ほどんどの過程がツァガンサルに備え、1ヶ月も前から準備を始めるのも頷けます。

ヘヴィンボーブ(巨大ビスケット)


平たい楕円形の揚げ菓子。ユニークな形は木製の型で型抜きしています。小麦粉にバター、砂糖、塩、水を混ぜて、油であげたもの。これを奇数段積み重ねるのですが、なぜ奇数かというと、下から「幸せ・不幸せ・幸せ・・・」と数えているのです。最後は、乳製品や飴、角砂糖を置いて飾ります。

モンゴル相撲(モンゴル国技)

日本相撲との相違点が面白い!
■ 区切られた土俵というものがなく、広い草原の上で、場所を制限されることなく競技が行われます。ですから、突き出し、押し出し、寄り切りと言ったようなモンゴル相撲には決まり手はありません。
■ モンゴル相撲には時間制限がないため、1番の取組に要する時間が長いという特徴があります。
■ 先に膝、肘、頭、肩、背中等のいずれかが地面についた方が負けとなります。日本相撲のように、手が地面につくだけでは負けにはならないそうです。
■ モンゴル相撲では、たくさんの相撲取りが一斉に闘います。
■ モンゴルのお相撲さんが着ている服は日本の相撲取りと違い、まわしではなくパンツをはきます。パンツには紐が付いており、それをきつく結んで相手に捕まれないようにしています。

このように異なる側面が多い一方、宗教的な儀式としての意味合いが残されているなど、日本人から見ると大相撲の起源と言われるほど、根本的にはモンゴル相撲は似ているとされています。

馬頭琴(モンゴルの代表楽器)

モンゴルの遊牧民の間に古くから伝わる、二弦からなる擦弦楽器。馬頭琴はその名の通り、いたるところに馬が表れています。棹の先に馬の頭が彫刻され、胴体には馬の皮を張って作られます。弦は2本あり、それぞれの絃は70~80本以上の馬の尾の毛で作られています。また弓毛も馬の尻毛を束ねて作られます。音域は、ほぼ2オクターブ半ほど。その音色は太くやわらかく、聴くものの心を揺さぶります。その起源は古く、バイオリンやチェロなどの原点かもしれないと言うロマンチックな説もあるほどです。

ナーダム祭(スポーツの祭典)

毎年7月に行われるモンゴル国内最大のお祭り。最も大きく華やかなのが国家主催のもので、革命記念日である7月11日から3日間にわたって首都ウランバートルで毎年開催され、モンゴルの首脳や各国からの来賓も参列します。

日本とも縁が深いモンゴルだけあって、ナーダムで行われる競技は日本人に馴染みのあるものばかり。モンゴルを代表する3競技「競馬」「相撲」「弓射」の三大競技が行われ、遊牧民として伝統的な生活を送り、逞しく生きてきたモンゴル人たちのパワーとテクニックが存分に発揮されます。競技の前後や合間には伝統民族楽器の馬頭琴演奏や民族舞踊などの披露もあり、華やかな雰囲気で祭りを盛り上げます。2010年、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。

シャガイハルバ
さてこのナーダム祭、モンゴルならではのユニークな競技Shagain Harvaa(シャガイハルバ)が、1998年に4つ目の競技として公式に追加されました。シャガイハルバとは、(主に羊の)くるぶしの骨を用いたモンゴルの射撃スポーツです。

こんな感じです↓↓↓

このシャガイハルバの競技、シンプルに見えますが技術はもちろんのこと、集中力や精度が求められる奥深いスポーツです。日本でも有志が定期的に集まり、練習や大会などを実施しています。もしご興味がある方は、本サイト管理者であり、モンゴル民族舞踏家であるツェデンビャンバー・ナランゲレルが、日本におけるシャガイハルバ協会にてシャガイハルバの技法トレーナーを務めていますので、ぜひご要望/お問い合わせ欄からご連絡ください。

ホーミー(モンゴル独特の唱法)

「ホーミー」とは、1人の人間が2つの音声を同時に発するという、世界中でも他に例を見ないモンゴル独特の”超人的”歌唱法。1つの声は「だみ声」で、もう1つはきれいに澄んだ声です。風や川の流れなど、自然の音を表現していると言われています。喉歌と呼ばれる歌唱法ですが、歌い方としては、①鼻のホーミー、②鼻と口のホーミー、③声門のホーミー、④胸のホーミー、⑤喉のホーミーの5種類があります。モンゴル人でもホーミーができる人は限られており、現在歌い手はホーミー発祥の地であるモンゴル西部アルタイ山脈周辺民族に多いです。

 

モンゴル豆知識および日本との関係

モンゴルは南北を中国、ロシアという大国に挟まれたモンゴル高原北部に位置する内陸国です。日本の約4倍(156.4万平方km)の国土面積に、横浜市の人口より少ない約317万人(2017年)が暮らしており,その約半分(46%、約146万人)が首都ウランバートルに居住しています。地方では現在でも伝統的な移動式住居「ゲル」に暮らす遊牧民が多いのですが、近年は携帯電話の普及や衛星放送による大相撲中継観戦など、遊牧生活の現代化が進んでいます。

日本とモンゴルは1972年2月に正式に国交を結び、外交関係を樹立しました。文化面では、日本の国技とされる相撲分野において1990年代以降、元小結の旭鷲山昇・元関脇の旭天鵬勝を皮切りに、モンゴル人力士が多数来日して活躍するようになり、2017年12月末までに朝青龍明徳(引退)・白鵬翔・日馬富士公平(引退)・鶴竜力三郎の4横綱を輩出しています。現在のモンゴルは極めて親日的な国です。民主化後のモンゴルにとって最大の援助供与国であるという実績への評価とともに、日本大相撲でのモンゴル人力士の活躍などによって、広くモンゴル国民の間に日本への親しみが広がっています。こうした日本に対するモンゴルの人々の思いは、日本語学習熱の高まりや日本への留学生増加としても表れています(2017年時点で、在日モンゴル人は約7,636人)。一方日本人にとっても、モンゴルは魅力的な自然風土と文化、歴史を備えた国。大学でモンゴル語を学んだ司馬遼太郎をはじめ、開高健、椎名誠など多くの日本人がモンゴルという国を愛してきました。